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2001年/採集会報告   採集会担当・梅田幸和


 今年は日帰り採集会を10回、一泊採集会を2回計画し、日帰り採集会3回が雨で中止となりました。

21世紀最初の採集会として計画した3月25日の「早春の昆虫採集・観察会」は残念ながら雨天中止。
去年生息が確認されたアサギマダラが気になったので、仲間数人と個人的に見に行ったところ、今年もいました。

4月22日(日)の「春の昆虫採集・観察会(東京都八王子市)」は10 家族の参加。午前中薄曇で気温も低かったため、昆虫類の活動が鈍く、参加者も手持ちぶさたで、蝶の食草探しをしていましたが、昼食を食べている頃から急速に晴れだし、スギタニルリシジミが目の前を横切って、あわてて箸を投げ出し追いかける場面も見られました。採集したのは半数が採集しにくいといわれるメスでした。
 また、ウスバシロチョウを2頭目撃しました。東京周辺ではかなり早い記録ですが逃げられてしまい、採集して記録を残すことができませんでした。

5月13日(日)の「春型アゲハ類採集会(神奈川県津久井郡)」 は 20家族が参加しました。天気もよく、気温も上がり絶好の採集日和の中、アゲハ類が乱舞していて目標のミヤマカラスアゲハも多数採集できました。
温泉宿の庭にあるツツジには常時カラスアゲハ、オナガアゲハ、クロアゲハが吸蜜に訪れていましたし、ほかに、キアゲハ、ナミアゲハ、アオスジアゲハ、ジャコウアゲハ、ウスバシロチョウ、キチョウ、ツマキチョウ、スジグロシロチョウ、アカタテハ、サカハチチョウ、コミスジ、クモガタヒョウモン、イチモンジチョウ、ヒメウラナミジャノメ、ヒメジャノメ、サトキマダラヒカゲ、クロヒカゲ、コチャバネセセリ、ミヤマセセリ、アオバセセリ、テングチョウ、トラフシジミ、コツバメと早春から初夏にかけての蝶が勢ぞろいしていました。
 また中学生がウスイロオナガシジミの幼虫を発見し、みんなを驚かせました。カシワの葉の付け根にいたのを見つけたのですが、この仲間の幼虫採集は初めてとのこと。陣場山の山頂近くのカシワ林に生息しているのは有名ですが、ここはかなり低い場所なのでミズイロオナガシジミではないかと疑ってしまいましたが、後日ちゃんと「ウスイロが羽化した」とのこと。おみそれしました。  

6月10日(日)の「平地性ミドリシジミ類採集会(埼玉県比企郡)」は11家族が参加。曇天で気温もあまりあがらず、そのため昆虫も少なく、成果の乏しい会となってしまいました。
 何より寂しかったのは、雑木林が荒れてきており昆虫が減っていることです。地元の人に聞いたところ、ここはバブルの頃工場誘致のため買い占められた土地とのこと。誘致失敗の後まったく人手が入っておらず、道も林も荒れ放題になっており、水田跡も乾燥化が進んで湿地も狭くなってしまいました。来年この場所で開催するのは難しそうです。

6月24日(日)の「山地性ミドリシジミ採集会(山梨県勝沼町)」は当日朝までのはっきりしない天気と日帰り採集会としては少し遠いためか、14名の少人数でしたが、熱心な方が多く、少数精鋭という感じの採集会となりました。
 朝のうちガスがかっかていた天気も次第によくなり、午後には日も差し、金緑色に輝くシジミチョウの空中戦も見ることができ、メスアカミドリシジミ 、エゾミドリシジミ、ウラゴマダラシジミ、ミズイロオナガシジミ、アカシジミ、ウラミスジシジミ、ウラキンシジミが採集できました。他にもヒオドシチョウ、クモガタヒョウモン、クジャク
チョウ、アオバセセリ(幼虫)、アサギマダラ、ゴイシシジミ、キモンカミキリ、アトジロサビカミキリ、ハンノキカミキリ、ドウボソカミキリ、コカブトなど、これまでの採集会とは少し異なった種類が採集できました。
 ミドリシジミの仲間は飛ぶ位置が高く、採集しにくい蝶の代表ですが、同年代の昆虫少年たちは長竿を貸し合い、とまっている場所を教えあい、よい場所を譲り合って採集していました。

 毎年人気の「オオムラサキ採集会(山梨県韮崎市)」ですが、今年は7月8日(日)に開催し、60名以上の参加を得て大盛況となりました。
 採集場所で散開すると参加者は見えなくなり、改めて採集地の広さを感じました。
 オオムラサキは発生初期でほとんどがオス。メスは1頭のみでした。おもちゃ屋で売っている300円の小さく短いネットでオオムラサキ、オニヤンマを採集したお父さんもいました。やはり道具の善し悪しより情熱です。
 ほかにルリボシカミキリ、アオスジカミキリ、クスベニカミキリ、ヤマトタマムシ、ウバタマムシ、オナガシジミ、ミヤマカラスシジミ、メスグロヒョウモン、ガムシ(幼虫)、ゲンゴロウ(幼虫)などが採集できました。
 ナナフシモドキ、キリギリス、キボシカミキリが人気でかなりの参加者が持ち帰りました。一方ヘビトンボ、ノコギリカミキリは不人気でした。

 7月20日(金)の「夏の昆虫採集会(山梨県勝沼町)」は25家族が参加しました。
当日は昆虫も多く、チョウではミヤマカラスアゲハ、オオムラサキ、コムラサキ、ミスジチョウ、アオバセセリ、キバネセセリ、ホソバセセリ、ウラギンシジミなど。甲虫ではミヤマクワガタ、ノコギリクワガタ、コクワガタ、スジクワガタ、カブトムシ、ルリボシカミキリなどが採集できました。クワガタ類は数も多く、木を蹴飛ばす採集方法で確実に採集できました。たくさん採った人が、採れなかった小さいお子さんにプレゼントしてくれました。
 あと解散後の午後3時ごろから活動をはじめたムモンアカシジミを、熱心に居残っていた人たちが採集しました。

 一泊採集会は昨年と同じ場所(山梨県韮崎市)で、8月3~4日と4~5日(金~日)の2回開催。
ともに9家族の参加者がありました。
 別荘地用に木を切られ、年々環境が悪くなってきていますが、カブトムシ・クワガタムシは相変わらずたくさん採集できました。この地域では少ないミヤマクワガタも今年は採集できました。
 今年の親御さんは熱心で、お子さんの昆虫採集に根気よく付き合っておられました。早朝の採集に出かける人も多く、4時台から活動を開始した親子は、大きな成果をあげられました。

【お詫び】
 発電機が故障して灯火採集ができず、本当に申し訳ございませんでした。
満月だったので、駅の灯火に集まる昆虫も少なく残念です。次回は念入りに整備をいたします。

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