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野山を駆け回り、自然の生み出した精緻な造形を実際に手に取って観
察する昆虫採集は、自然と親しみ自然の多様性を学ぶ方法として極めて
優れており、特に子供にとっては自然に対する感性を磨く貴重な体験と
なり得る。しかし子供の日常が大きく変化して野外であまり遊ばなく
なったことや、採集行為や標本作りに対する誤解と偏見からその価値を
低く見る風潮が生じたため、若い世代を中心に昆虫採集離れが進み、さ
らには昆虫採集は反自然保護的であるとして、一部の自然保護活動家や
マスコミから不当に圧力を受けるようになった。
これに危機感を持った全国の昆虫愛好家・研究家が、人々に昆虫採集
の正しい価値を知ってもらうために設立したのが日本昆虫協会で、趣旨
に賛同する個人と団体が支払う会費とボランティアによって運営されて
いる。
活動の指針として規約に以下の条文を定め、昆虫採集の普及みならず
昆虫の生息環境の保全や、標本の継承者が不足し貴重なコレクションが
散逸する恐れが高まっていることから標本を収蔵する施設の建設も目指
している。
(1)自然保護のための活動を全ての昆虫愛好家の責務と位置づけ、これ
に積極的に関与すること。
(2)昆虫が好きな子供を対象に、作品展、昆虫採集会、昆虫観察会等の
行事を催し、健全なナチュラリストを育てること。
(3)良識ある昆虫採集の普及、広報及び啓蒙活動を行うこと。
(4)現在民間にある多数の昆虫コレクションを次代に引き継ぐべき貴重
な文化遺産と位置づけ、その公的な保存及び利用がなされるよう積
極的に働きかけること。
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